今回は「侵襲」について一緒に学んでいきましょう!
侵襲!?
この「侵襲」とそれに対する「生体反応」を理解することは、ICUや周術期の患者さんを看護していく上で、とても大切だよ。
「侵襲」か。。
でも、なんか難しそうな内容やね。。
大丈夫!
できるだけ分かりやすく、かみ砕いて説明していくよ。
「侵襲」についてシリーズ化して書いていきます。
今回の記事は第一弾です。
「侵襲についての概要」を、できるだけ分かりやすく説明していきます。
今回の記事を読めば、
- 侵襲とは何か?
- ホメオスタシスとは?
- 過大侵襲とは?
を理解することができます。
「侵襲」を理解するための第一歩目の記事になります。
それでは一緒にみていきましょう!
侵襲ってなーに?
まず「侵襲」って、なにか分かる?
うーん、よく分からへんな。。
侵襲は「生体を乱す何らかの外部や内部からの刺激」のことを言うんだ。
例えば交通事故による外傷や、手術などは外部からの刺激の一つとしてイメージしやすいんじゃないかな?
ふむふむ。
じゃー、内部からの刺激はどういう時に起こるの?
働き始めたばかりの新人時代を思い出してみて。
で、その日の指導係がめちゃくちゃ怖い先輩だったらどう思う?
うわー、緊張するし、怒られないか不安な気持ちになる。。
そうだよね(涙)。。
その緊張や不安な気持ちが、内部からの刺激になるんだ。
- 外部刺激:手術、外傷、熱傷、出血、中毒、感染、脱水、疼痛etc
- 内部刺激:悪性腫瘍、急性膵炎、劇症肝炎、緊張、不安、恐怖、興奮etc
「侵襲」が起こると、様々な生体反応が起こります。
例えば、感染したら一般的に発熱します。
これは外部から身を守るために免疫システムが働くためです。
また、不安な気持ちになると交感神経が優位になり、
心拍数が上がり、呼吸数も増えます。
これも生体反応によるものです。
このように、「侵襲」に対して生体の恒常性を保つために様々な生体反応が起こります。
これは、
身体にホメオスタシス(恒常性)という機能が備わっているからなんだ。
ホメオスタシス?
ホメオスタシス(恒常性)
前述したとおり、生体は内部環境を保つために、常に天秤のような働きを行っています。
例えば、暑ければ汗をかいて熱を放散し、体温を一定に保とうとします。寒ければ、身体が震えて(シバリング)、熱を産生します。
この働きが、ホメオスタシス(恒常性)です。
このホメオスタシスの維持は、
生体の「神経システム」「内分泌システム」「免疫システム」の3つのシステムが、バランスを保ちながら行っています。
「神経システム」「内分泌システム」「免疫システム」については、別の記事で詳しく解説していきます。
過大侵襲
前述したように、侵襲が起こると、生体の機能を維持しようと、ホメオスタシス(恒常性)が働きます。
しかし、
ホメオスタシスが対応できない程の、とんでもなく大きな侵襲が加わることがあります。
それを「過大侵襲」と呼びます。
侵襲の大きさの程度は下の図を見るとイメージしやすいよ!
引用元:小川道雄ほか 臨床侵襲学 臨床に生かす侵襲学のすべて へるす出版 1998
生体にとって、侵襲の程度が大きすぎたり、侵襲からの回復時間が長くなったり、さらには感染などであらたに侵襲が加わってしまうと、生命の維持が困難になってしまうことがあります。
高侵襲の状態が続くと、低栄養や免疫能の低下、凝固線溶異常などをきたし、MODS(多臓器障害)、MOF(多臓器不全)へ移行し、予後がとても悪い状態になってしまいます。
「侵襲」を理解することは、大切なんだね!
「侵襲」を理解することは、患者に今なにが起こっているのか?今後、どんな生体反応が起こるのかを予測することができ、それを踏まえて看護ケアを行うことができます。
今回のシリーズを通して「侵襲」を一緒に学んでいきましょう!
✅参考文献
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