PCPS(VA‐ECMO)回路の観察ポイント ~安全に看護するためにPCPSを知ろう編~

心臓血管外科
年上の同期
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はぁ。。

 

年下の同期
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どうした?浮かない顔してるよ?

 

年上の同期
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明日、初めてPCPS装着している患者さんを受け持つことになったのよ。。

 

年下の同期
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マジ?すごいじゃん!

 

年上の同期
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それが、やばいんよ。先輩から勉強してくるように言われたけど、全然分かんない。。

 

PCPS装着中の看護のポイント教えてくれへん?

 

年下の同期
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おぉええで!

ほな、一緒に勉強しようか!

 

年上の同期
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同期よ!ありがとう!

おなしゃす!!

 

今回の記事を読めば

  • PCPSってなに?
  • 流量?回転数?人工肺?
  • 看護するためのPCPS回路の観察ポイント

が、分かるようになります。

それでは、さっそく始めていきましょう!

PCPSとは?

年下の同期
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PCPSは、「経皮的心肺補助装置」と言われるよ!

 

年上の同期
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経皮的心肺補助装置?

 

年下の同期
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「経皮的」とは、皮膚の上から針を刺してカニューレを入れる。

 

補助」とは、そのカニューレから血液(静脈血)を引いて、人工肺でガス交換をする。ガス交換後の血液(動脈血)をカニューレから身体に戻す。

 

経皮的に心臓と肺の補助をしてるから、「経皮的心肺補助装置」と言うんだよ!

 

年上の同期
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んー、分かったような分からないような。。

すまねー。

 

年下の同期
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言葉だと分かりにくいか?

んじゃ、カンタンなPCPSの図をみながら説明するわな!

 

年上の同期
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助かります!(同期マジ優しい!神!)

 

PCPSの仕組み

年下の同期
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下の図を見て!

 

右大腿静脈から、遠心ポンプで「ぐわー」って血液を引いて(脱血)、人工肺でガス交換する。ガス交換後の血液を左大腿動脈から身体に戻す(送血)。

 

ちなみに

  • 脱血管の先端は右心房
  • 送血管の先端は大腿動脈

に位置します。

 

年上の同期
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あー、そういうことか!

 

年下の同期
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ざっくり言うとこんな感じ!

 

コントローラーで補助流量を調整したり、ブレンダーでFiO2や酸素流量を調整してるんだけど、それは後述するお!

 

つぎにPCPSの適応と禁忌をみていきましょう!

適応と禁忌

 

年下の同期
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ちなみに明日受け持つ患者さんは、

なぜPCPS管理してるの?

 

年上の同期
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えーっと、、なんでだっけ。。開心術後の人なんだけど。

えーっと。。わかんね(汗)。。

 

年下の同期
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先輩に聞かれて、その返答は激オコされるよ(苦笑)

 

じゃあ、PCPSの適応を一緒にみていこう!

 

年上の同期
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はいっ!!

(明日のフォローついてくれる先輩怖いんだー)

 

PCPSの適応は、各ガイドライン(日本循環器学会・日本集中治療医学会・ELSO)で明記されていますが、

一言で言うと、「循環が保てない場合」に適応となります。

 

適応例をあげると、

  • 心肺停止(ACSでPCI等の治療するまでの繋ぎ)
  • 心原性ショック(難治性VFや開心術後のLOSの時など)
  • 低体温による循環不全
  • 重度肺塞栓によるショックetc

 

年下の同期
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循環作動薬やIABP使っても血圧が維持できない。。このままだとやばい。。っていう場合には、迅速にPCPSを開始する必要があるんだ。

 

ここで重要なことは、「PCPSは原疾患を治療するためのものではない」ということ。

AMIに対してはPCIをするための補助、開心術後のLOSでは心機能が改善してくるまでの補助として行います。

あくまでPCPSの役割は、原疾患の治療を行うために必要な循環の補助です。

 

年上の同期
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明日受け持つ患者さんは、開心術後のLOSで心機能が改善するまでの補助でPCPSをつけてるってことか。。

 

年下の同期
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そういうことだね!

 

次にPCPSの禁忌についてみていきましょう!

  • 大動脈解離や大動脈瘤
  • 重度のAR(大動脈閉鎖不全)
  • ASO(閉塞性動脈硬化症)etc

 

年上の同期
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へー。PCPSの禁忌って結構あるんだねー。

 

年下の同期
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いや、PCPSは絶対的な禁忌はないんだよ。禁忌事項に当てはまっても導入するケースは多々あるんだ。

 

年上の同期
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ん?どういうこと?上の禁忌事項は!?

 

PCPSは、循環作動薬やIABP使っても「循環が保てない時」に開始します。

つまり、「PCPSを回さないと死んでしまう状態」であると言えます。

そのような状況なので、上にあげた禁忌事項があってもPCPSを開始することが多々あります。そのため絶対的禁忌ではなく、「相対的禁忌」と表現されます。

 

年上の同期
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「相対的禁忌」の場合にPCPSを回すということは、その分リスクが高くなるということか。。

 

年下の同期
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そうそう!

なぜ「相対的禁忌」なのか?

PCPS管理をする上で、その理由を理解しておくことが必要だね。

 

相対的禁忌の理由

 

年下の同期
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ここでは、なぜ以下の項目が禁忌(相対的)なのか?みていきます

年上の同期
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おなしゃす!!

✅PCPSの相対的禁忌

  • 大動脈解離や大動脈瘤
  • 重度のAR(大動脈閉鎖不全)
  • ASO(閉塞性動脈硬化症)etc

 

 

年下の同期
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大動脈解離や大動脈瘤は、PCPS送血によって病態の悪化が懸念されるよ。。

 

 

 

 

年下の同期
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重度のARは、大動脈弁が閉じないので常にPCPSからの送血の負荷が左室にかかる…

 

 

 

年下の同期
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ASOは、足の動脈がメチャ細い病態。

PCPSのカニューレは太いから、下肢虚血を起こすリスクが高いのよ。

 

 

 

年上の同期
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ほえぇぇ。。

 

年下の同期
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上記はあくまで一例だけど、相対的禁忌がある患者さんにPCPSを行う際には、起こりうるリスクを考えて観察していきたいね!

 

年上の同期
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おす!!(こいつ、ほんま同期か?ワイとの知識量の差がパねー…)

 

 

✅一言メモ

日本では「PCPS」と呼んでることが多いが、世界的には「ECMO」と呼ばれています。ECMO:Extra Corporeal Membrane Oxygenationの略。日本語では「体外膜型肺」。VA‐ECMOは、Veno(静脈)‐Arterial(動脈) ECMOのこと。PCPSと同じで、静脈からの脱血、動脈からの送血。なので、VA‐ECMO≒PCPSです!

 

それでは、PCPS回路の観察ポイントをみていきましょう!

PCPS回路の観察ポイント

 

年上の同期
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PCPSかぁ。。実際に自分が安全にみれる自信がないお。。

 

年下の同期
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大丈夫!PCPSでやってることは意外とシンプルだよ!押さえておくべきポイントを理解しておこう!

 

年上の同期
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お願いします!!(ほんま頼りになるな。。)

 

年下の同期
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じゃあ、

まずはPCPSで行っていることをみていくよ!

まずはPCPSを知ろう!

 

年下の同期
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まず下の図をみて!

 

 

年上の同期
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たしか、最初の方にも出てきたPCPSの図だね!

 

➀右大腿静脈から、遠心ポンプで「ぐわー」って血液を引く(脱血)

 

➁人工肺でガス交換する

 

➂ガス交換後の血液を左大腿動脈から身体に戻す(送血)

 

だったよね?

 

 

年下の同期
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そうそう、大まかにはそんな感じ!

このPCPSは、患者さんの状態に合わせて医師が設定するんだ!

 

PCPS回路を少し細かくみていくよ!

 

補助流量と回転数と遠心ポンプってなに?

 

年下の同期
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PCPSは、患者さんの身体から血液を引いて、人工肺でガス交換し、再び血液を身体に戻す。

その速さを決めているのが、「コントローラー」だお!

 

 

実際には、下のようなものがついています!

 

 

ダイヤルを回して、回転数を設定して、回転数に合わせて補助流量が決まります。患者さんの状態に合わせて、医師がこの補助流量を調整します。

この流量が、流れる血液の速さになります。

 

流量は2.0L/min以上は必要

 

年下の同期
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ここで注意してほしいことは、

「補助流量は2.0L/min以上は必要」ということだよ!

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なんで?

 

年下の同期
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流れる血液が遅いと

PCPS回路内に血栓ができてしまうんだ。。

年上の同期
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え!?そうなの?

 

年下の同期
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最近のPCPS回路はヘパリンコーティングされていたり、回路内に血栓できないように抗凝固薬を投与してたりするけど、一番血栓予防は「PCPS回路内の血液の流れの速さ」なんだ!

 

 

患者さんの状態が良くなってくると、PCPSウィーニングのため流量を減らしていきます。その段階でも、血栓予防のために流量は2.0/minは確保されることが多いです。

 

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血栓予防のために流量は2.0L/min以上の確保は必要なんだね!メモメモッ!

 

回転数は3000以下を目安に管理

 

年下の同期
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もう一つ注意点があるんだ!

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なになに?

 

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「溶血予防のために回転数は3000以下を目安に管理する」ということだよ!

 

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回転数ってなんだっけ?

 

 

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下のイラストをみて!

 

 

 

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PCPSは、コントローラーで回転数を設定し、回転数に合わせて補助流量が決まるって話をしたよね!

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あー、そうだった(汗)

 

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この回転数っていうのは、「遠心ポンプの回転数」のことなんだ!

 

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遠心ポンプが回りすぎと、ポンプ内に熱をもってしまう。この熱のために血液が溶血を起こしてしまうんだ…

 

年上の同期
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なるほど。回転数が多すぎると溶血を起こしてしまう。そのため「回転数は3000以下を目安に管理」するんだね!

 

年下の同期
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回転数が3000以上じゃないと流量が維持できないとなると、そもそも何か異常が起こっていると考えた方が良いお!

「脱水などで、そもそもの血液量が足りないのか?」「送・脱血管が曲がっていないか?」など観察することが大切だよ!

 

ちなみに、十分に脱血できていない時は、脱血回路が振動します。

 

 

回路の血管壁の先当たりや、回路の屈曲、脱水などで起こります。

 

年下の同期
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この振動が続くと、溶血や気泡発生のリスク高くなるため、速やかに対応する必要があります。

 

ちなみに気泡は、十分に脱血できないことで脱血管が陰圧になって発生する。このことをキャビテーションと言うお!(覚えなくてよいお)

 

また、遠心ポンプがとまってしまうことがあります。

 

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え、こわ。。

 

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前兆としては、カタカタ言い出すみたいだよ!

(実際聞いたことないお)

このような異音の発生は、ポンプ内の血栓形成が原因のことが多いようです。

そのため、速やかに医師へ報告し、回路交換を検討します。

 

人工肺は何してる?

つぎにPCPS回路内の「人工肺」についてみていきます!

 

 

脱血した静脈は、人工肺を通り、酸素化されて動脈血となり送血されます。

 

人工肺の設定は、「ブレンダー」でされています。

 

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下のイラストが「ブレンダー」です!

 

 

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脱血した静脈血に対して、FiO2で酸素化し、流量でCO2の調整を行うんだ。

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「流量でCO2の調整を行う」ってどーいうこと?

 

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動脈血のCO2、つまりPaCO2が高い場合は流量を上げます。流量を上げてCO2を飛ばす感じ。

人工呼吸器で言う「分時換気量」をイメージしてみて!CO2を飛ばすために換気量を増やすんだ。

なので、流量を下げるとCO2は上昇するよ。

 

 

年上の同期
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へー!

「酸素はFiO2で、二酸化炭素は流量で調整」っと。

メモメモ!

 

血栓ないか?観察が大切

 

年下の同期
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人工肺にも血栓ができるので、血栓できてないか?

観察が必要だよ!

年上の同期
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えー、、人工肺にも血栓できるのか。

PCPS回路はほんと血栓の観察が必要なんだね。。

 

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そうそう!

人工肺以外でも、「遠心ポンプ」「流量コネクターの接続部」「採血ポートなど枝分かれしている場所」にできやすいので要注意よ。

 

血栓の有無は、ペンライトで照らして確認する。

もしあれば、医師へ報告しよう!

経過みるよう指示あれば、血栓は増えてきてないかみるためにマーキングしるよ!

 

回路の色の観察が大事

 

人工肺は、長く使用してると血栓やたんぱく質がこびりついて、ガス交換能が低下してきます。

 

年下の同期
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そこで!送血管の色を観察することが大切になってくるお!

 

年上の同期
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え?送血管がこんな色になるの(汗)?

 

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イラストはイメージなので大げさに書いてるけど、

送血管の赤色の動脈血が、脱血側のような静脈血に近くなってきたら要注意です!

 

年上の同期
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発見したらどうすればいい(汗)!?

 

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すぐに医師へ報告し、

PCPS回路のABGを確認してもらおう。

 

施設よって違いますが、FiO2 1.0でPaO2が200mmHg未満であれば、人工肺が十分機能していないとし、回路の交換が必要になるかもしれません。

 

人工肺は通常5~7日で交換が必要になるケースが多いため、その期間は特に回路内の色の観察を行いましょう。ちなみに、人工肺のみの交換はできないため、回路すべての交換となります
プラズマリークとウェットラングに注意
年下の同期
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「プラズマリーク」と「ウェットラング」が
人工肺の観察で大切になってくるよ!
年上の同期
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ん!?なんて言った??

プラズマリークとは、血漿が漏れ出すこと。

 

年下の同期
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人工肺を長く使ってると、膜へたんぱく質がこびりついてくる。

それによってoutポートから漿液性で泡立った水滴(血漿)が出てくる。

 

これが見られたら回路交換が必要になってくるので、すみやかに医師へ報告になります

年下の同期
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ちなみに、血漿は英語で「プラズマ」と言うよ。

年上の同期
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なるほど。

血漿が漏れ出てくるから、プラズマリークと言うのか

 

ウェットラングとは、室温と回路内の温度差による結露がみられること。

 

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outポートから透明な水滴がでてくるよ!

年上の同期
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これも回路交換になるの(汗)?

 

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いや、これは結露を飛ばしたら解決するよ!

医師へ報告し、数分間ガス流量を10L/minにあげて結露とばしてもらおう。ちなみにこれを「ガスフラッシュ」と呼んだりするよ!

 

年上の同期
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「先生、ウェットラングが見られているのでガスフラッシュお願いします」的な感じか(笑)!

 

年下の同期
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ガスフラッシュしたあとは、必ず流量を戻すこと忘れないでね!そのままだと、CO2が低下しすぎてしまうので。。

 

年上の同期
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はいっ!!

 

続きは、次回記事(パート②)へ続きます

 

少し長くなってきたので、今回はここまでとします。

「PCPS(VA-ECMO)回路の注意点」がなんとなく分かった気になれば幸いです。

 

✅↓のパート2の記事では、

  • ミキシングゾーンとは?
  • SvO2って?
  • スワンガンツカテーテルの心拍出量がアテにならない理由

など書いています。

 

それでは、パート2の下記もぜひご覧ください!

PCPS(VA‐ECMO)装着中の看護 Vol.2

 

✅参考文献




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