今の職場を退職しようとしている方へ。
年休(有給休暇)って、どのくらい残っていますか?
その年休は、退職時までにすべて使えるでしょうか?
Twitter(@Buffetingale )で、以下のアンケートをとってみました!
【退職経験のある看護師さん、教えてください!】
退職までに消化できなかった有給休暇(年休)はどのくらいありましたか?
— ダンカン@看護師ブログ残り83記事 (@Buffetingale) March 31, 2021
投票数は256票。そのうち年休を30日以上残しての退職者は、なんと約40%。
年休を10日以上消化できなかった人は、68%でした。
私の職場でもTwitterアンケート結果の割合と同じような肌感覚でした。
ここで衝撃の事実をお伝えします。。
年休を30日以上残して退職する方は、
退職前の直近1~2ヵ月間は実質タダ働きすることになります。
さらに、引っ越しが必要なケースでは、割高な引っ越し代金を払うことになります。
どういうことなのか?詳しく解説していきます。
有給休暇日の賃金は、
➀通常勤務と同じ賃金、➁直近3ヵ月の平均賃金、➂標準報酬日額のいづれかで計算されます。
どれを選択するかは、事業所によって様々です。
ここで考えてほしいことがあります。
これは、およそ1ヵ月間タダ働きをしていることを意味します。
さらに、
退職時に引っ越しが必要な場合は、引っ越し代が大きく変わってきます。
引っ越し代金は3月の繁忙期には割高となり、1月や2月は通常料金の場合が多いです。
つまり、年休を30日分消化できない場合では・・
私の周りでも、40日近く残っている年休を消化できずに退職するスタッフが大半でした。
みなさんの周りでも、年休を全て消化できずに退職される方がほとんどではないでしょうか?
そんな中・・
私は前職場を退職する際、残っていた年休を全て消化することに成功しました!
今回の記事では、
- 退職までに年休を全て消化した私の体験談
- その時の感情
- その経験からみなさんにお伝えしたいこと
- 円満に年休を消化できる確率UPのための行動
を書きました。
今回の記事が、少しでも参考になれば幸いです。
私の体験談
私は、年度末(3月末)に前職場を退職しました。
退職希望調査が毎年10月にあり、その際に師長へ退職の意思を正式に伝えました。
実際は、8月には次の職場先が決まっており、その時点で師長には退職の意向を伝えていました。
退職の意向を伝えてからも、年休の消化ペースは月に0~1日程度。
退職までの残り2ヵ月である1月。
この時点で残っている年休は38日でした。
「もしかして、長期の年休を取らせる気はない。。?」
この時点で気がつきました。
もう少し早く気づいて交渉すればよかった。。
客観的に考えれば、ただでさえ勤務表を組むのを苦労している状況です。
師長の方から年休の取得をうながしてくれるはずがありません。。
早めに転職先が決まっている人は、
早い段階で師長と「計画的に年休をつかう」を相談しておくことで、年休の消化の確率UPに繋がると感じました。
さて、ここから師長と年休取得について話し合うことになります。
師長と話す
38日残っている年休について、上司である師長へ相談しました。
師長さん、退職前の年休の消化をしたいのですが。
3月は退職者が多いから、人手少ないの。
だからさ、できるだけ働いてほしいのよ。年休はあげられて5日程度だと思うわ。
「え?そんだけ?」
正直、私はびっくりしてしまいました。
予想よりも消化できる日数が、はるかに少ない。
部署の状況は分かります。。可能な範囲で働きたい気持ちがあるのですが、引っ越しと新生活への準備のため、最低でも15日は休みを頂きたいのですが。。
うーん。。難しいかもしれない。
そのため、前半は連勤続き。
しかも、
この時点で消化できない年休は38-5=33日です。
師長さん、消化できない年休は買い取りしていただきたいのですが?
うーん。。買い取りできるけど、全てはできないよ。
✅年休の買い取りとは?
ただし! 買い取りの制度があるかどうかは事業所によって様々です。
買い取り制度があっても、退職者が残日数分の年休取得を求めた場合は、本人の請求権が優先されます。事業所は年休取得を認める必要があります。これは大事なポイントです!
「勤務の都合で年休がつかえない状況で、残った日数分を買い取りできない理由は何なのか?」
「どういう規則でそうなってるのか?」
と、確認しても
全て買い取りになった前例がない。あなただけ特別扱いはできない。
と、質問にたいする明確な答えが返ってこなかったため
病院の人事部へ行って確認しました。
人事部からは、以下の内容が書かれた用紙を渡されました。
✔年休買い上げ対象は、次の全てに該当するもの
- 退職時に残余年休があること
- 職務の都合でやむを得ず退職日までに年休を取得することができないこと
- 年休買い上げ加算を部門長が認める者
と、いうことが書いていました。
1と2は当てはまります。
3の部門長が認める者は、それぞれの部門によって違うとのことでした。
そのため、年休買い上げ日数も部門によって違うと言われました。
看護部の部門長とは、「看護部長」ですね。。うーん、直接は聞き辛いなあ。。
ということで、
看護部の人事担当者でもある副看護部長に連絡し、面談をしてもらいました。
副看護部長と面談
副看護部長と面談を行うことになりました。
師長さんから、仕事が回らないからできるだけ働いてほしい、年休は5日しかあげられない、残った年休は買い上げだけど、全て買い上げできないと言われました。
年休は38日残ってて、5日使うことができるとして、残り33日は全て買い取りはできないでしょうか?
10月に年休が発生するでしょ?あなたは3月退職だから、来年度の10月までの年休が使えないの。退職の3月までだと残っている年休38日の半分の19日しか使えない。
だから、買い上げは、19-5=14日分になるわ。
え?そうなんですか?
分かりました。。
と、わたしは返事しました。
しかし、あまり腑に落ちませんでした。
(すでに付与されている有給なのに、おかしくないか。。?)
面談後に調べてみました。
すると、
労働基準法にはこのように規定されていることが分かりました。
・年休は過去の勤務に対して付与されるものである
・権利が発生した日から2年間で時効消滅する
「年休は過去の勤務に対して付与される」
やっぱりそうなんだ! 副看護部長の言ってることに違和感があった。
副看護部長「10月に年休が発生するでしょ?あなたは3月退職だから、来年度の10月までの年休が使えない」
ある程度の「知識武装が必要」だと感じた瞬間でした。
✅この時の私の気持ちは、当時書いていたブログに以下の通りに書いていました。
人が足りなくて、業務回らない状況は痛いほど分かるので、可能な日数まで働きたい気持ちは凄くあります。
けれど、付与されているはずの有給休暇をないものにするのはおかしくないでしょうか?
有給休暇買い上げの加算支給額は、1日基本給×加算対象年休日数であり
ないものとされる19日分で計算すると、約22万円でした。
このお金は自分の労働の対価であるし、加算できないのであれば、その分の有給休暇は認めてほしい。
副看護部長は知ってのことなのか?まさか。。もやもやがとれません。。。
副看との面談(2度目)までに準備したこと
先日の副看護部長との面談から4日経ちました。
もやもやがとれないため、意を決して副看護部長に連絡をし、再び面談を行う運びとなりました。
前回の反省点を生かし、ある程度の「知識武装」をしました。
そして、事前に以下内容を脳内にまとめておきました。
✔事前に考えた私の要求は以下のとおりです。
- 38日残っている有給休暇をとらせてほしい(引っ越しや新生活準備のため休みたい)
- 勤務的に難しい状況も分かる。そのため、残って働く必要があるなら、消化できない有給休暇分は買い取りする形ならOK
- 買い取りできないというなら、有給休暇を使わせてもらう
- できない場合は労働基準監督署に相談させてもらう
4の「労働基準監督署」は、今回のパワーワードであることを、学んで知りました。
✅労働基準監督署とは・・
労働基準法違反が認められれば、「労働基準監督署」は、事業所へ指導や是正勧告を行う役割があります。年休は労働基準法に定められているので、労働基準監督署に相談することが可能です。
公的機関であり、無料で相談できます!
お近くの労働基準監督署は以下で検索可
実際に相談に行かなくても「労働基準監督署に相談する意向」を上司に伝えます。労働基準監督署からの勧告等を避けたい事業者が有給休暇の取得に応じやすくなる効果が期待できます!
これを奥の手として使います!
副看との面談(2度目)
副看護部長との2度目の面談前の心境は、
拒否されたらどうしよう。
うまく丸め込まれないようにしないと。。
と不安にかられていました。
そのため、自分の要件伝えるためのシミュレーションを何度も行いました。
もし丸め込まれそうになったら、奥の手の「労働基準監督署に相談しにいきます」というセリフを準備しました。
副看護部長は、私が再度面談にきたことで察したのか、以下のように切り出しました。
この前は、買い取りは年休の半分っていうことを言ったけど、ずいぶん残ってたのね。38日も。
看護部長とも話をして、今まで年休をとれてないんだから、買い取りをしてあげようって話になったの。
こちらとしては、残っている年休をとれない、又は全て買い取りできないと言われるものだと思っていただけに拍子抜けました。
年休を使われると勤務が組めない状況になるから、買い取りをお願いできないかしら?
副看護部長から、具体的な日数は明言されなかったため、こちらからこのように切り出しました。
引っ越しの日程が2月か3月上旬か、下旬かによって、引っ越し費用がだいぶ違うんですよね。
新生活の準備でも色々費用や準備する時間もかかるから、色々犠牲にして働くのも正直つらいですね。
そうよね。
頑張って働いてくれてるから、年休は7日消化できるとして、残りの31日は買い取りにしましょう。
年休消化、指定級、勤務調整で12日間のまとまった休みがとれました。
そのうえ、31日の年休の買い取りとなりました。
副看護部長から、
この話は他スタッフには言わないでほしい。買い取りの日数を増やすように、年休を使わないスタッフが出てくる可能性があるから
と言われました。
しかし、日ごろから年休をつかえる状況ではありません。
「年休消化できない日を買い取りに回したら、その分の人件費が増える。だから、スタッフへは消化できない年休は消滅するものだと思わせておく」
が本心だと思います。
年休の買い取り分の31日を計算すると、約34万円です!
これが払われずに消滅すると考えると
1ヵ月以上ただ働きをした挙句、高くなった引っ越し費用を払い、新生活をするための準備を十分できないまま、4月を迎えるということになります。
考えるだけでゾッとします。。
この事実を知らないスタッフが数多くいるのでしょう。
自分が働いてた病院はブラック企業だったんだと実感しました。。
正しい情報を知って、行動することが大切だと学んだ瞬間でした。
再び、師長と話す
副看護部長からは、
自部署の師長さんには年休の対応方法を後日連絡しておくから
と言われました。
私からも師長に副看護部長とのやりとりを伝え、消化できない年休の取り扱いを伝えました。
すると、師長からは
あなただけ特別ってこと?年休の買い取りは数日分になるはず。
年休を30日近くも買い取るのは聞いたことがない。
と早口でまくしたてられました。
ここで言い争っても仕方がないので、
私は「副看護部長から聞いてみて下さい」と伝え、話を終えました。
結論は変わらないと思いますが、もし変わったらどうしよう。
と、かなり不安になりました。
ただ、もしこれで看護部からの提示が変わるようなら、「労働基準監督署」に相談に行こうと思っていました。
結論としては、
残っていた年休38日は、7日間使い、残り31日は買い取りとなりました。
こうして、すべての年休を消化することができました。
私以外の退職者はどうしたか?
このように、私は残っていた年休を捨てずに退職することができました。
同時期に部署から退職するスタッフは、私以外に3人いました。
他のスタッフ達は…
1人は全て年休を使いました(しかも買い取りせずに)。
残りの2人は、年休を使わずに3月末まで働いていました。
3人のスタッフは、師長に残っている年休の相談をしていました。
しかし、私と同様に
3月は退職者が多いから、人手少ないの。だから極力働いて欲しいのよ。年休はあげれて数日よ。
と言われてました。
しかし、
年休をすべて使用したスタッフは、「残っている有給休暇はすべて使います。働きません」と言っていました。
あなたの行動で、患者さんやスタッフに迷惑がかかるのよ
と言われてました。
それでも、そのスタッフは一貫として「年休を使います。働きません」という姿勢を崩しませんでした。
想像の通り、師長との折り合いは悪くなりましたが、そのスタッフはすべての年休を勝ち取りました。
他2人のスタッフは、
「師長が有給を使わしてくれないから、仕方ない」
「師長とのやり取りに疲れたから、有給は捨てることにする」
と嘆いていました。。
ここで知っておいてほしいことは、
年休を使うor使わないことを決めることができるのは、師長ではない。私たちです!「忙しい」「勤務が組めない」という理由で、年休を取らせないのは、労働基準法違反になります。
師長さんクラスでも、この事実をしらない人がいます。そのため、「年休はあげられないわ」と強気な発言ができるのだと思います。
年休の交渉はこちらに分があるのです。
なるべく円満な方法で、有給休暇をすべて消化したい
退職前に年休を消化する行動は、とてもエネルギーを使いました。
しかも一歩間違えば、師長や職場スタッフからも嫌われて、退職までの日々がつらいものになってしまう可能性も大いにあります。。
「なるべく円満な方法で、年休をすべて消化したい」
そのためにはどうすれば良いか?
今回の経験を通して、
私が思う「円満に年休を消化するためのポイント」を解説していきます!
早い時期に退職、有給休暇の希望を伝えておく
年休が多く残っている場合、計画的に使っていくことが望ましいです。
退職前の2~3月の時期に、長期で複数人のスタッフが抜けることを想像してみて下さい?
買い取り制度のある病院であれば良いですが、ない場合は消化できる可能性がグッと下がります。。
そのため、計画的に年休消化できるように師長に勤務調整の相談することが吉です。
早い時期に、次の就職先の内定が決まっていると話がしやすいですね。
知人の紹介や転職サイトなどで、早い時期に就職先を探しておくことをオススメします。
ちなみに私の場合は、
友人からの話と何件かの転職サイトを使って、8月に次の職場の内定が決まりました。
転職サイトは、担当者によって対応が変わるようですが、私の場合はどの転職サイトも比較的対応は良い印象でした。
今回転職サイトで看護rooさんを利用させてもらったのですが、親身になって下さって色々きめ細かな対応で利用して良かったなと改めて感じました( *´︶`*)
— まぐ★ぞん (@Magupend) February 1, 2020
看護rooの転職担当のお姉さんがすごい優しく話し聞いてくれて、辛かったですねぇって優しい声で言ってくれてはいぃぃぃってなった
— 吾味 (@frtygfyhfthji52) August 9, 2019
↓の看護rooは割と評判が良さそう印象です。
係や委員会などの役割がある場合は、次の人への引継ぎもあると思います。
退職の意向はギリギリではなく、早めに伝えて、計画的に行うことが大切だと感じます。
知識武装しておくことが大事
「年休を計画的につかいたい」と、師長に相談した際
年休をすべて使いたい?
今までみんな使えてないのに、あなただけ特別扱いできないわ
と言われたら、
その師長は労働基準法を犯そうとしています。
あなたを大切にできない職場には見切りをつけて、強気にいきましょう。
このように発言する師長さんは、労働基準法についての正確な知識を知らない可能性があります。
職場に労働組合があれば、そこに相談しても良いでしょう。
もしなければ、奥の手の「労働基準監督署に相談します」を使っても良いと思います。
時季変更権を知っておこう
もし、私のケースのように師長から、
3月は退職者が多いから、人手少ないの。できるだけ働いて欲しいのよ。
使える年休は数日だと思って。
「時季変更権」をつかうってことですか?
と、聞いてみましょう。
✅時季変更権とは?
詳しく知りたい方は、↓の厚生労働省のものが分かりやすいです。
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf
つまり、退職者が複数いて、3月に有給休暇日が何人も重なり勤務が組めないなら「時季変更権」で、有給休暇の時期をずらすことはできるよ。
有給休暇(年休)をなしにすると法律違反になっちゃうよ。ってことです。
最後に
年休は働く人に与えられている当たり前の権利です。
しかし、日本では欧米と比べて年休の取得率が極端に低く、当たり前にとれる雰囲気ではありません。
私たち看護職も人手不足、交代勤務などで取りにくい状況です。
わたしが、今回すごく言われた言葉は
「みんな取ってない。あなただけ特別扱いできない」
です。
副看護部長や師長から言われました。
おそらく、副看護部長や師長も今まで年休を取得できずに、やり過ごしてきたのだと思います。
しかし、その文化を続けていくのは、ただの負の連鎖になると思います。
年休の取得のために行動することは、とても勇気のいることでした。
これから退職予定で年休消化を考えている方は、とても不安だと思います。
できるだけ、円満に取得できるように。
- できるだけ早い段階で、計画的に年休をつかいたい意向を伝えておく
- 交渉できるよう正しい知識を知っておく(管理者が知らない場合もあるため)
年休を消化できないということは、その日数分はタダ働きをしていることになります。
早めに行動することで、少しでも計画的に年休をつかえる確率がUPします
是非、勇気を持って行動してみて下さい!
きっと勝ち取れます!!
PS:早い時期に、次の就職先の内定が決まっていると、年休の話がしやすいです。
知人の紹介や転職サイトなどで、早い時期に就職先を探しておくことをオススメします!
↓に看護師転職サイト一覧を載せてます。ご活用下さい。
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