ずんちゃんずんちゃん♪
こんにちわー!ICUレディオの時間です。
DJナースでーす!
さっそく以下の質問がきています。読みあげていきましょう!
なるほどなるほど。
それでは、「Ns川天心さん」の質問に答えていきますね。
Here we go!!
下行大動脈術後の看護のポイント
さっそく、結論からお伝えします。
下行大動脈ope後の看護のポイントは以下の3つです!
- 脊髄障害に注意
- 呼吸状態に注意
- 出血に注意
以上です。参考になったかな?それではまたー!!
ずんちゃん ずんちゃん ずんちゃん ずんちゃん・・・・
終わるんかーい!!てツッコミお待ちしてました。
これで終わったら不親切ですよね!もちろん終わりません。
注意してみていく理由をひとつずつ解説していきます。
最初は脊髄障害についてです!
脊髄障害に注意! アダムキービッツ動脈って?
まず、下行大動脈ってどこか分かりますか?
胸椎4~5の高さから胸部大動脈、胸椎12から腹部大動脈となります。
胸部大動脈、腹部大動脈を合わせて「胸腹部大動脈」や「下行大動脈」と言います。
ここの部分に動脈瘤や動脈解離が起こって、
opeした方がいいってなったら、opeするわけです。
動脈瘤の径50~60㎜がope適応の基準ですが、
胸腹部の動脈瘤は脊髄障害による対麻痺のリスクが高いので、大動脈径60㎜とされています。
出た!!脊髄障害というワードが!
opeは人工血管置換術か、TEVARという血管内治療があります。
※TEVARに関しては下の記事を参照ください
ステントグラフト内挿術後の看護 ~エンドリークに注意しよう~
今回は人工血管置換術後の注意点の解説です!
この下行大動脈からは様々な分岐血管が出て、各臓器を栄養しているわけです。
opeをすることで、それぞれの臓器虚血のリスクがあるんですが、
特に注意する必要があるのが、脊髄虚血です!
胸部大動脈の分岐血管にアダムキービッツ動脈(以下AKA)があります。
このAKAが脊髄の栄養血管です。
臓器保護の中でも脊髄保護が最も重要。
ope前にMRIやCTでAKAを同定し、再建・温存するかプランを立てopeに臨みます。
ope後に脊髄障害が発生していないか? 以下の症状を観察しましょう!
脊髄障害の症状
- 対麻痺
- 膀胱直腸障害
- 温痛覚の知覚障害
脊髄虚血による脊髄障害の症状は、
術直後にみられる場合や術後数日経って生じる場合があります。
対麻痺は、術直後に出現する場合と術後数日経過して発生する時期があります。その発生時期は中央値で21時間、最長は27日、発生率は2.7%という報告があります。ドレーンが抜去されICUから病棟へ帰室後も、下肢の脱力や感覚障害、膀胱直腸障害など脊髄虚血症状に注意し、観察していく必要があります。
引用元:徹底ガイド 心臓血管外科 術後管理・ケア ハンディ版 編集 山中源治、小泉雅子 P124
ope後は、脊髄障害の出現に注意して観察を継続する必要があります。
脊髄虚血が生じないように看護のポイントをみていこう!
脊髄障害を予防する方法 ~平均血圧とスパイナルドレナージがポイント~
脊髄虚血による脊髄障害を予防する方法は以下の二つです。
✅低血圧を避ける
✅スパイナルドレナージ
脊髄虚血を防ぐためには、とにかく脊髄灌流圧の維持が大事です。
SCPP=MAP − CSFP
この式は要チェック!!
SCPP(脊髄灌流圧)
MAP(平均動脈圧)
CSFP(脳脊髄圧)
✅SCPP=MAP − CSFPの式で考えると
脊髄灌流圧を保つためには
➀平均血圧を維持し
➁脳脊髄圧は上げない
脊髄障害を予防するその他の方法としては、
➀ope中に※MEPのモニタリング
➁部分体外循環(後述するお)
➂低体温管理
を実施するよ!
※MEP(motor evoked potentials):下肢の運動性脊髄誘発電位をみて、ope中に脊髄虚血を起こしていないかモニタリングをします。
次は呼吸状態の注意点について解説するわよ!
呼吸状態に注意!
ope中はダブルルーメンチューブを使い気管挿管し、
視野確保のために、右片肺換気とし左肺を虚脱します。
左開胸でのopeでは肺損傷のリスクもあり、
大なり小なり肺障害は必発と考えよう!
術後胸水が貯留することや無気肺の発生も考えられます。
➀呼吸音や副雑音の有無、➁SPO2、➂痰の性状や量、④胸腔ドレーンの性状や量の観察が必要です!
下行大動脈置換術の多くは、横隔膜も切開するから創部大きいし、
血胸も懸念されるよ!
痛みでの痰喀出が困難なことも多く、
- 除痛の援助
- 肺痰の援助
が、大切になってきます。
下行大動脈置換術の多くは、左開胸に加え、腹部の筋肉も大きく切ってるから、術後の創部痛は強くなるよ。
採血データやバイタルを確認しながらDrの指示に沿って積極的に鎮痛剤を使おう。離床がすすまない原因になるからね。
※右片肺挿管でのopeとなるため、呼吸器疾患が既往にある、特に右肺の障害が強い場合は、OPの適応外となりTEVAR等が選択されることもあります。
次で最後です!
出血に注意するための視点を解説するよ!
出血に注意!
下行大動脈置換術は置換範囲が広く、
体外循環やope時間延長のため、出血傾向を認めます。
「え?体外循環?」って思った?
脊髄や腹部臓器の保護を目的とした下半身灌流のための「部分体外循環」を行います。
「部分体外循環」は、心臓は自己心拍を保ったまま行うから、心筋保護の投与を必要としないの。だけど、病変部が広範囲で循環停止法を用いる場合には、心停止を行う場合があるお。
体外循環が身体へ及ぼす影響 ~人工心肺の注意点を理解しよう~
をチェックしておこう!
✅「部分体外循環」とは?
➀脱血:大腿静脈、先端は右心房
➁送血:大腿動脈
➂opeは、左鎖骨下動脈の末梢側、下行大動脈(病変部より末梢側)を鉗子で遮断しています。
「部分体外循環」は脊髄や腹部臓器の保護のために、遮断した下行大動脈末梢側を灌流します。
血液が体外循環装置を通過することで、凝固線溶系が活性化されて出血傾向が増します。
体外循環の時間の把握が大切。
体外循環が長時間に及ぶ場合は、特に出血に注意よ!
まとめ
本日のICUレディオはいかがでしたか?
という質問でしたね!
一緒に振り返っていきましょう♪
下行大動脈置換術後の注意点は?
✅脊髄障害に注意しましょう!
対麻痺、膀胱直腸障害の有無、温痛覚が鈍くないか?観察しましょう。ope後27日に発生した報告もあるので、ope後しばらく経っていても症状でないか注意が必要。「SCPP=MAP − CSFP」の式を参考に、➀平均血圧を下げずに脊髄灌流圧を維持、➁スパイナルドレナージにて脳脊髄圧を上げないを徹底しましょう。
✅呼吸状態に注意しましょう!
ope中は右片肺換気のため左肺は虚脱しています。呼吸障害は必発と考えましょう。排痰、除痛の援助が大切。「疼痛は百害あって一利なし」。積極的に鎮痛剤を使用しましょう。
✅出血に注意にしましょう!
部分体外循環下でのopeになります。体外循環の時間が長ければ長いほど易出血傾向となります。体外循環時間を把握し、採血データやドレーンの性状、バイタル変動の確認が大切になってきます。
それでは、良い臨床をお過ごしください!
see you next time! byebye~!!
参考文献は以下
コメント
初めてのコメント失礼致します。
最近下行置換術後の患者さんを受け持ったため、下行置換について勉強をしはじめた新人です。
脊髄灌流圧の理解が難しかったですが、とても理解しやすくためになりました。
そこで、いくつか質問させて頂きたいのですが、
脳脊髄圧を下げるスパイナルドレーンは10〜15cmh2oで管理するとみたのですが
値はそれで合っていますか?またこの高さは実際の現在の患者さんの脳脊髄圧という解釈であっていますか?
また設定した高さよりも圧が低い場合は、滴下されずに液面が設定した高さよりも低い所でゆれるという認識であっていますか?
無知な質問多数申し訳ございません。
参考書等で調べ、わからない事を調べている間にここに辿り着きました。
とてもわかりやすく説明されていたため、ここで質問させてもらいました。
よろしくお願いいたします。
kaoさん 返信遅くなり申し訳ありません。
久しぶりにブログを開いたため、遅くなってしました..
質問に対しての回答です。
➀スパイナルドレーンの高さは10~15㎝H2Oで管理されることが多いです。
髄液を出したい場合(脳脊髄圧を下げたい場合)は高さを下げる、逆に出したくない場合(脳脊髄液を保ちたい場合)は高さを上げるようになります。
➁液面の高さは、患者さんの正確な脳脊髄圧とは言い切れません。ただ、管理の目安としてみるのには良いと思います。例えばオーバーフローしている場合は、脳脊髄圧が上昇していることが考えられます(サイフォンの0点がずれていないかの確認は必要ですが)
➂設定した高さよりも圧が低ければ滴下されず・・・(以下略)
→その認識でOKです!!
上記が回答になります。
タイムリーに返信できずにすみません。
不明点あれば、また遠慮なく聞いて下さい。