ん!?ワイの明日の受け持ちはEVARか。ステントグラフト後は初めてだな。。
俺の明日の受け持ちはTEVARか!?ステントグラフト後の注意点ってよく分らんな。。
お!明日の受け持ちTEVARじゃん!注意点とか勉強した?
勉強してないし、よく分かってないんよ。
EVARついとるんじゃん。OP後の注意点分かる?
いや、分からねー。ステントグラフトについて一緒に勉強しねーか?
そうしよう。おねしゃす!
ステントグラフト内挿術の特徴
ステントグラフト内挿術は、血管内治療です。
ステントグラフトを血管内に挿入し、動脈瘤の破裂を予防します。
ステントグラフトは、
金属のステントと人工血管(グラフト)が縫合されて一体となってるんだって!
基本的には、鼠径部を切開し、
大腿動脈からステントグラフトを挿入しての手術になります。
開胸や開腹、体外循環など必要なく、
人工血管置換術に比べると侵襲が低い手術なんだね!
解剖学的形態に限界って??
なにやらランディングゾーンってのがあるみたい!!
ランディングゾーンの確保が必要
ステントグラフトの治療適応となる動脈瘤は、人工血管置換術と同じです。
ただし、動脈瘤の前後にランディングゾーンが確保できることが必要です!
ランディングゾーン?
ランディングゾーンとは、動脈瘤の中枢と末梢にある正常な血管の部分です。
ランディングゾーンにステントを密着させることで、動脈瘤への血流を遮ります。
デバイスによって必要なランディングゾーンは違ってくるけど、
おおむね1~2㎝なんだって!
ランディングゾーンの長さが足りないと十分に血流を遮ることができず、
動脈瘤内への血流の残存である※エンドリークの発生の原因となります。
※エンドリークは後述するお!
正常な血管であっても、主要な分枝が動脈瘤の近くにあったら、枝を閉塞してしまいます。
そのためランディングゾーンとすることができません。
この場合、ステントグラフト内挿術の適応にならないんだね。
次に代表的なステントグラフト内挿術を2つ紹介します!
EVARとは?
頭文字をとって、EVARです。
AAA(腹部大動脈瘤)に対してのステントグラフト内挿術になります。
ステントグラフトを挿入し、動脈瘤への血流を止めます。
ステントグラフト入れて動脈瘤への血流を止めて、動脈瘤破裂を予防するんだね!
TEVARとは?
頭文字をとってTEVARです。
胸部の大動脈瘤(TAA)等に対してのステントグラフト内挿術です。
文字どおり、EVARの胸部バージョンってことか!
EVAR同様にステントグラフトを挿入し、胸部の動脈瘤への血流を止めます。
その他にも、
手術の方法やデバイスの開発が進むことで、
治療適応が拡がってきてるんだね!
術後の看護のポイント
ステントグラフト内挿術後の看護のポイントは以下の5つです!
- エンドリークに注意
- migrationに注意
- 出血に注意
- 腎機能悪化に注意
- 治療部位に合わせたリスク管理
ひとつずつみていくよ!
エンドリークに注意
ところで、エンドリークってなに?
ステントグラフトで遮断したハズの動脈瘤に血液が流れること。
へ?せっかく手術したのに、そんなことになったら悲しい。。
エンドリークは、4つのタイプに分けられます。特に1と3のタイプは危険な状態です!
Type1 ステントグラフトの端からリーク
ステントグラフトとランディングゾーンである血管の間から
動脈瘤へ血液がリークするタイプです。
原因は
➀ランディングゾーンの長さが不十分、
➁ランディングゾーンの血管の屈曲や内膜の石灰化
なんだって!
Type1は圧力が高い血流のため、動脈瘤を拡大させるリスクあり。
追加治療が必要です!
Type2 分枝血管からの逆流
ステントグラフトを挿入すると、動脈瘤内の血圧が下がります。
瘤内の血圧が下がるので、瘤内から出てる※分枝血管から血液が逆流してくるタイプです。
Type2のエンドリークは、術中または術直後にみられます。
瘤内の圧力が下がった証拠で、
自然消退することが多いんだって!
Type3 グラフト接合部や破損部からのリーク
ステントグラフトを複数使用する手術の場合、➀ステントグラフトとステントグラフトのつなぎ目(重なり)から瘤内に血液が流出。
また➁ステントグラフト破損部からの流出するタイプ。
Type1同様に圧力の高い血流であるため、追加治療が必要。
Type4 素材から染み出す血液による
人工血管(グラフト)が布のように繊維を織って作成された製品を使用するOPで、
繊維の隙間からしみ出してくる血液が残存するタイプ。
一般的には自然消退するため、
動脈瘤の悪化は起こらないとされてるお!
以上のことから、エンドリークの4タイプのうち
「タイプ1と3」は血流が速く、大動脈瘤拡大のリスク高いため、reオペの対象となります!
migrationに注意
migration?
なんだろ?日本語訳では「移動」って意味らしい。
ステングラフトの移動?
ステントグラフトの移動
つまり
migrationとは、ステントグラフトが動いてずれてしまうことを意味します!
ステングラフトがずれると、Type1のエンドリークが起こります。
また、ステントグラフトがずれることで重要血管の狭窄・閉塞が起こることがあります。
胸腹部大動脈から重要な分枝血管がたくさん出てるもんなー。
AKAだと脊髄障害、SMAだと腸管障害、RAだと腎障害。。
ステントグラフトの留置部位から、migrationが生じたらどのような症状がでるのか?
あらかじめ症状の予想を行って術後の観察していくことが大切です。
脊髄障害だと下肢の動き、
腸管障害だと腹部緊満や腹痛や代謝性アシドーシスになってないか?
を観察しないとね。
他にも、腎障害なら尿量の低下や採血で腎機能の悪化ないかみていくことが大事だね!
migrationを防ぐためには、血圧管理が重要です。
出血に注意
ステントグラフト内挿術は、基本的には大腿動脈からシースを挿入して行います。
そのため、挿入部の出血、血種、下肢への血流に注意が必要。
進行する場合は医師へ報告です。
出血を助長しないように凝固系データの確認が必要だね。
後腹膜に出血している場合は、体表面からは分からないから、ヘモグロビン値の低下がないか確認しよう!
腎機能悪化に注意
ステントグラフト内挿術では、OP終盤に下肢の血管造影を行います。
血管造影の目的は、シース挿入部の狭窄や解離などの合併症が生じていないか確認するためだね!
☑造影剤を使用しているため、術後腎機能障害を来す可能性が高くなります。
☑また前述したmigrationで腎動脈の閉塞が起こると、腎障害が起こります。
治療部位に合わせたリスク管理
✅エンドリークに注意
✅migrationに注意
✅出血に注意
✅腎機能悪化に注意
上記4つはステントグラフト内挿術後全般に起こりうる注意点です。
治療部位に合わせたリスク管理とは、
どの場所にステントグラフトを留置したかで、注意する観察項目が変わるということです。
注意点は、各部位の人工血管置換術後の看護に準じます。
胸部の症例に対して行われるTEVARでは、以下を参考にしよう!
~下行大動脈置換術後の看護のポイント~ 脊髄虚血に対してスパイナルドレナージする理由とは?
腹部症例に対して行われるEVARでは、以下を参考にしてみて下さい。ワイもチェックします!
まとめ
ストントグラフト内挿術って、
低侵襲で人工血管置換術と比べて合併症率低くて、入院期間も短いんだね!
開胸・開腹できない人に実施できる手術だけど、
ランディングゾーンの確保など解剖学的限界があるのも特徴的だね。
術後もステントのずれが起こらないか、長期フォローが必要だから、時間的金銭的には人工血管置換術より負担が大きいね。
ステントグラフト内挿術、人工血管置換術のそれぞれの特徴を踏まえて術後の看護をすることが大切だね。
ということで、
ステントグラフト内挿術後の看護のポイントのまとめです!
✅エンドリークに注意しよう!
エンドリークのTypeは4つ。Type1と3は血流が速く、大動脈瘤拡大のリスク高いから、reオペの対象。経腰的直接穿刺による塞栓術、腹腔鏡下でのクリッピング術が追加で行われます!
✅migrationに注意しよう!
migrationとは「ステントグラフトのずれ」のこと。血圧管理が重要です。migration起これば、分枝血管の閉塞のリスクあり。栄養血管から考えられる症状を予測し観察を行い、早期対応が重要です!
✅出血に注意しよう!
挿入部の出血、血腫、下肢への血流に注意が必要。出血を助長しないように凝固系データの確認も併せて行おう。
✅腎機能悪化に注意しよう!
造影剤を使用しており、OP後に腎機能障害のリスクあり。またmigrationで腎動脈の閉塞の可能性も無きにしも非ず。尿量、腎機能を要チェック!
✅治療部位に合わせたリスク管理をしよう!
ステントグラフトの留置部位に合わせた観察が必要。各部位の人工血管置換術後に準じて看護しましょう。
TEVAR~下行大動脈置換術後の看護のポイント~ 脊髄虚血に対してスパイナルドレナージする理由とは?
EVAR初めての腹部大動脈瘤(AAA)術後 ~看護のポイント~
おかげ様でステントグラフト後の注意点が理解できたよ。
こちらこそ!明日は頑張ろうな!
というところで、目が覚めた。
ワイは夢を見ていたようだ。。
ワイには同期なんていない。。
こんな同期がいたら楽しいのにな。。。
少し怖い話
~完~
参考文献は以下
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