腹部大動脈瘤(AAA)の手術 術後のポイント 看護師ブログで解説

心臓血管外科

突然ですが、想像してみて下さい 。

あなたは、初めてAAA術後の患者さんを受け持ちます。

え?やばみ。。

初めてなので、今日はあなたをフォローする先輩がついてくれています。

そこで、あなたは先輩からこう聞かれます。

AAA術後で、気をつけることってなに?

えーっと。。

答えられなければ、 先輩からの愛のムチがとんできます 。

 

んー。。

勤務早々こんな思いしたくありませんよね?

安全に患者さんへ看護ができるように、これから一緒に学んでいきましょう!

これを読んだ後には腹部大動脈瘤術後の看護のポイントをばっちり理解できているはずです。

それでは始めていきましょう!

AAAとは?

AAAってなんだっけ?

 

ってところからざっくりみていきましょう。

英語の頭文字をとって「スリーエー」「トリプリエー」といったりします。

 

心臓から拍出された血液は➀上行大動脈、➁弓部大動脈を経て、➂胸部大動脈、④腹部大動脈を通ります。

 

この腹部大動脈に動脈瘤ができる病態のことを腹部大動脈瘤と言います。

 

 

ここの動脈瘤ができている血管を人工血管にかえる手術を人工血管置換術と言います。

 

手術自体は、動脈遮断したり、ヘパリン化したり、必要時は血管再建をするんですが、ここでは簡単にこんな感じと思ってもらえれば良いです。

 

 

術後に何に気をつけてみていけばいんでしょうか?

AAA術後の看護のポイントについてみていくわよ!

看護のポイント

AAA術後は以下の6つの観察項目を注意してみていきましょう!

  1. 血圧コントロール
  2. 疼痛コントロール
  3. 出血
  4. 腸管虚血
  5. 下肢虚血
  6. 腎障害

 

要チェックやで(スラムダンク彦一風)

血圧コントロール

AAA術後の血圧コントロールはとても大切です。

血圧が高いのは良くない状態です。

その理由は、
創部からの出血を引き起こしたり、せっかく置換した人工血管が破綻してしまうことがあるからです。

 

血圧が高いのも良くないですが、血圧低いのもこれまた良いことではありません。

血圧が低いと、腹部の主要臓器・末梢の虚血を招きます。

     出典元:道又元裕,露木菜緒:ICU3年目ナースのノート P123 日総研 2013

図のように大動脈から様々な分岐血管が各臓器を栄養しています。

人工血管を置換して、さらには分岐血管を再建している場合にはある程度の血流の確保が必要よ!

そのため血圧が低くなりすぎないように血圧管理をすることが大切です。

一般的には主要臓器の還流の目安は平均血圧で65mmhg以上とされています。

※血圧コントロールは主治医の指示に沿って行ってください。

疼痛コントロール

お腹を切っているので、麻酔が切れてくると創部が痛くなります。当然のことですね。

疼痛コントロールが不十分だと、血圧が上がり

先ほど述べた創部の出血や人工血管の破綻の原因になります。

 

また、創部通が強いと十分に咳が行えないことで肺炎や無気肺が起こったり

 

離床がすすまないことでイレウスやせん妄のリスクがあがります。

 

 

疼痛は百害あって一利なしよ

 

積極的に疼痛コントロールができるように、医師に相談しながら鎮痛剤を使っていきましょう!

出血

術後出血。
とても注意が必要です。

AAAは、術前から動脈瘤の血栓化によって、凝固因子が消費されています。
そのため、術前から凝固系や線溶系が異常をきたしている可能性があります。

さらには、術中にヘパリン化するので、術後の出血の可能性を考えて看護する必要性があります。

創部からの出血以外にも、お腹の中で出血していないか?を注意してみていく必要があるわよ!

 

観察のポイントとしては、
お腹の痛みやお腹の張りがないか?

 

後腹膜にドレーンが入っている場合には、ドレーンから真っ赤な血がでてないか?
排液量が多くなっていないか?

 

採血データでは、Hb、Ht、赤血球の低下がないか?をみていきます。

出血所見がある場合はすぐに医師に報告しましょう!

腸管虚血

 

AAA術後は「ノミ」にも注意するのよ!

 

 

「ノミ?」「飲み?」 久しぶりにパーッと飲みたいな。。

何か言った?

い、いえ。。ノミってなんでしょうか?

心拍出量の低下や循環血液量が減少すると、血圧が下がります。
血圧が下がると臓器への血流確保ができずに、腸管虚血になり、腸管が壊死します。

この病態のことをNOMIと言います!

このNOMIは、動脈閉塞のような激痛症状はなく、揺るかに進行します。

そのため、診断と治療が遅れることが多く、死亡率が高くなります。

症状がなくても
NOMIが起こるかもしれない?と思って術後は観察する必要があります。

 

術後2-3日目に発症することが多いので注意して観察しましょう。

 

身体所見の観察としては、

お腹を押さえてみて痛くはないか? お腹が張ってないか?

発熱はないか?

 

腸蠕動音聴こえるか?

 

代謝性アシドーシスになってないか?血液ガスの値をみていきましょう。

 

採血データは、CRP↑、WBC↑、CK↑?などをみていきます。

 

腸管壊死の場合は、緊急OPを行います。腸管壊死の摘出を行ったり場合によってはストーマを増設したりします。

 

えらいこっちゃ!!

 

 

NOMIの所見があればすぐに医師に報告しましょう!

下肢虚血

足の脈が触れない場合は何が考えられる?

わかりません

下肢の虚血を疑って観察してみて!

はい!!(返事だけは100点)

 

下肢虚血はOP当日に起こることが多く、閉塞部位によって治療法が異なります。

 

まずは、足の症状をみます。

チアノーゼはないか?冷感はないか?しびれはどうか?腫れてるか?脈は触れるか?
等をみていきます。

 

もし脈が、足背動脈でもふれない、後脛骨でもふれない、膝窩でも触れない場合には
大腿動脈が触れるのか必ず確認しましょう!

 

この大腿動脈が触れるか、触れないかで対応が大きく変わります。

大腿動脈が触れる場合は、

下肢の末梢側が閉塞していることが考えられます。
薬剤治療、カテーテル治療が行われます。

 

大腿動脈が触れない場合は、

人工血管の閉塞を疑います。
再開腹して人工血管内の血栓除去を行う必要があります。

 

下肢の観察を行う際は、どこの脈まで触れるのか?がとても重要よ!

腎障害

 

AAA術後は尿量も注意してみるのよ。理由は分かる?

おしっこ。。腎臓の障害に注意して観察するためでしょうか?

そうね!(お、少しは勉強してるのね)

もう少し詳しく解説するわ。

 

大動脈の分岐血管に腎動脈があって、腎臓を栄養しています。

この腎動脈の上側で大動脈遮断を行った場合や、腎動脈を再建をする必要があった場合には、
腎虚血による腎障害のリスクを考えながら観察を行います。

 

また、腸管虚血や下肢虚血がおこると筋肉組織が破綻します。
するとミオグロビンが遊離します。

この遊離したミオグロビンが腎動脈に詰まることで、急性腎障害を起こすことがあります。

 

術中記録では腎動脈の遮断の有無、遮断したなら遮断時間を必ず把握しておきましょう。

 

ちなみに、腎動脈より中枢で大動脈遮断を1時間以上行う場合は、

腎保護目的で腎臓の表面冷却や腎保護液の還流を行う場合があるのよ!

 

あとは、

採血データで腎機能を把握したり、
術後の尿量減少に注意をして観察を行いましょう!

まとめ

想像してみて下さい。

あなたは、初めてAAA術後の患者さんを受け持ちます。

何か最初のほうで聞いたような。。

初めてなので、今日はあなたをフォローする先輩がついてくれています。

そこで、あなたは先輩からこう聞かれます。

AAA術後で、気をつけることってなに?

もう答えられるわね?

あなたはもう笑顔で、すらすらと答えることができるようになっているでしょう。

 

はい!もちろんです!!(たぶん)

 

ということで、まとめです!

血圧コントールに注意してみていきましょう。高いと出血を起こしたりや人工血管破綻のリスクになります。低いと臓器の虚血を招きます。

疼痛コントールも十分に行いましょう。咳嗽できないことでの無気肺のリスクや離床できないことで、せん妄やイレウスが起こります。

術後は易失血状態です。創部だけではなく、お腹の中で出血が起こってないか?身体所見や採血データをみていきます。

術後2-3日にはNOMI発生に注意。
術当日にが下肢虚血の発生に注意。

腎障害にも注意して尿量や採血データをみていきましょう。

 

ちなみにAAAに対しては「EVAR」という手術方法もあります。

↓下の記事を参照下さい

ステントグラフト内挿術後の看護 ~エンドリークに注意しよう~

 

それでは、今回はこれでおわります。

これからの臨床につなげていきましょう!

 

参考文献は以下








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