やばい。。
AVR後の患者を受け持つけど、注意点が分からない。
そんなあなたに朗報です!
- AVRとは?
- AVR後の看護のポイント
が理解できます。
ほんと?
ぜひ教えてほしい!!
では、私が教えるわ。よろしくね!
は?はい!よろしくお願いします
(え?怖そうな人。嫌だな。。)
それでは、さっそく学んでいきます。
AVRってなーに?
AVR(大動脈弁置換術)とは、
左心室と大動脈の間にある大動脈弁を人工弁に取り換える手術のことです!
AR(大動脈弁閉鎖不全症)やAS(大動脈弁狭窄症)に対して行う手術です。
AR?AS?
ってなんだっけ。。
✅ARは大動脈弁が閉じなくて、血液が大動脈から左室へ逆流してくる病態。
✅ASは大動脈弁口が狭くて、血液が十分に通れない病態。
AR、ASどちらも病状が悪化すると、左室から全身へ血液を十分に送り出せない状態となる。
リスクの高い手術であるため、慎重に手術の適応が検討されます。
手術適応は以下のガイドラインを参照してね!
2020 年改訂版
弁膜症治療のガイドライン
JCS/JATS/JSVS/JSCS 2020 Guideline on the Management of Valvular Heart Disease
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/04/JCS2020_Izumi_Eishi.pdf
手術はAVR以外にも、患者の年齢や病状によって、
AVP(大動脈形成術)やTAVI(経カテーテル大動脈弁植え込み術)などが選択されることがあります。
今回は最も行われるAVR後の看護のポイントをみていきます。
ちなみに、AVRは人工心肺を使用して心肺停止下で行われます。
人工心肺?
大丈夫です! 人工心肺については以下記事を参照下さい。
体外循環が身体へ及ぼす影響 ~人工心肺の注意点を理解しよう~
看護のポイント
術後の看護のポイントは以下3点です。
- 慢性ARは左心不全に注意
- ASはLOSに注意
- 不整脈に注意
AVRは人工心肺下での開心術であり、上記以外の注意点も多数ありますが、以下記事と内容が重なるので本記事では省略します。
体外循環が身体へ及ぼす影響 ~人工心肺の注意点を理解しよう~
それでは、一つずつみていきます!
慢性ARは左心不全に注意
ARは、本来閉まるはずの大動脈弁が閉まらないことで、大動脈から左室へ血液が逆流する状態です。
その状態のまま長く経過した状態が、慢性ARです。
血液が逆流した分、左室へ負荷がかかります。
それにより、左室の筋肉はどんどん引き伸ばされ薄くなっていきます。
その結果、左室の収縮力は低下します。
AVR後に、大動脈弁が閉じるようになっても
左室の筋肉はペラペラで、収縮力が低下している状態のままです。
そのような状態で、術後に前負荷が過度に増加すると、左心不全を起こすことがあります。
術後は左心不全が起こらないように、慎重な水分バランスの管理が必要です。
容量負荷を急に減らすと、左室への血液が不足して駆出できなくなることもあるんだ。
え?前負荷が少なすぎてもいけないんですか?
そうなのよ。
左室はペラペラだけど拡大している分、ある程度の前負荷は必要なの。
以下のフォレスター分類を頭に入れて、「うっ血所見がないか?CIは低下していないか?末梢循環不全はないか?」など観察しながら、術後の水分管理をすることが大切です。
ちなみに急性ARは急速に病状が進行します。そのため、慢性ARのように容量負荷が長期間左室にかかっておらず、左室の筋肉がペラペラになって拡大していないことが多いです。
慢性ARのように左室の筋肉が引き伸ばされて、心臓の外側に向かって大きくなる。これを遠心性肥大と言うのよ。
今度、慢性ARの人受けもったら、
「左室に遠心性肥大していることが考えられるから、心不全に注意よ(ドヤッ!!!)」って同期に言ってみよ。。シメシメ!
ASはLOSに注意
ASは大動脈弁口が狭くて、左室から全身へ血液を送り出しにくい状態です。
左室から全身へ血液を送り出す際には、左室へ圧がかかる。
その状態が長く続くことで、左室の内腔はムキムキになるの。
左室の内腔がムキムキになったらどうなるんですか?
左室の内腔は狭くなる。また、ムキムキであることから弾力性が低下し、収縮力も低下する。
その結果、一回拍出量は低下するのよ。
AVR後に、大動脈弁口が広くなっても
左室内腔は狭く、心筋の弾力性も乏しいままであり、一回拍出量は低下しやすい状態です。
肥大した心筋はすぐには戻らないんだ。
そのため、術後は脱水や心拍数の低下によるLOSに注意が必要になります。
術後は左室を伸展させて一回拍出量を保つために、
ある程度の前負荷が必要になるわ。
「LOSってなに?」と思った方は下記の記事を参照ください
ちなみにASのように左室の筋肉がムキムキになって、心臓の内腔が肥大していくことを、求心性肥大と言うわ。
今度、ASの人受けもったら、
「左室が求心性肥大していることが考えられるから、拍出量の低下に注意が必要やねっ!!!!」って同期に言うぜ。。
ウシシシ!
不整脈に注意
弁膜症術後の60%に心房細動が起こると言われています。
心房細動が起こると、左室の充満圧が低下し、心拍出量が低下します。
心房細動を起こす誘因は様々ですが、原因を特定することが重要になります。
電解質の異常、発熱、貧血、また離床に伴い交感神経が亢進することで発生することもあります。
発生時は原因をアセスメントし、すぐに医師へ報告よ!
心房細動は心拍出量の低下を引き起こし、LOSになりかねません。
術直後の心房細動は特に迅速な対応が必要よ。
わかった?!
はい!!!
さらに、AVR後に起こりやすい不整脈がもう一つあります。
え?なんだろう?
AVR後には、房室ブロックが生じることがあるのよ。
手術の際に刺激伝導系の近くを操作します。
大動脈弁とヒス束は距離が近く、術操作や組織の浮腫によってヒス束に影響を及ぼし、房室ブロックになることがあります。
即座に対応できるよう術中よりペーシングリードを留置して帰室することが多いです。
術後は心電図のモニタリングはもちろんのこと、ベッドサイドに体外式ペースメーカーの準備は忘れずにね!
はい!よろこんで!!(不整脈やだなー。。)
まとめ
AVRをして弁を取り換えた後でも、術前からの心臓の大きさや形はすぐには戻りません。
慢性ARでは、左室の心筋はペラペラ(遠心性肥大)
ASでは、左室の心筋はムキムキ(求心性肥大)
だったわね!
私はASの方が好みかも。
ペラペラより筋肉ムキムキの方が良いよね!
なんか言った?
い、いえ。。
術前から心臓の状態を抑えたうえで、術後の循環評価を行うことが大事ってことですね!
今回の記事では、術後の看護のポイントを
- 慢性ARは左心不全に注意
- ASはLOSに注意
- 不整脈に注意
の上記3つに絞ってみてきましたが、他にも多くの注意点があります。
人工心肺の影響、心嚢縦隔ドレーン、循環管理、人工弁置換後の凝固管理etc
他記事と内容が重ねるので、本記事では省略してます。
ぜひ下記を参照ください。
✅人工心肺の影響
体外循環が身体へ及ぼす影響 ~人工心肺の注意点を理解しよう~
✅心嚢縦隔ドレーン、循環管理
✅人工弁置換後の凝固管理
要チェックや!!
参考文献はこちら
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