PCPS(VA‐ECMO)装着中の看護 Vol.2

心臓血管外科
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今回は、PCPS(VA‐ECMO)のパート②として、

PCPS装着中の看護のポイントみていきます!

 

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待ってました(切実)!

 

パート①を読んでない方は、↓の記事をぜひご覧ください!

PCPS(VA‐ECMO)回路の観察ポイント ~安全に看護するためにPCPSを知ろう編~

 

装着中の看護のポイント

今回の記事を読めば、以下のことを理解できます。

  • ミキシングゾーンとは?
  • SvO2ってなに?
  • スワンガンツカテーテルの心拍出量はアテにならない理由
  • 起こりうる注意点
  • 離脱時のポイント

 

それでは、さっそく順番にみていきましょう!

 

ミキシングゾーン

 

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PCPS装着時の看護をするうえで

「ミキシングゾーンの理解は必須」だよ!

 

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はい!!

・・ところで、ミキシングゾーンってなに?

 

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ミキシングゾーンとは、

「自己血とPCPS送血がぶつかる場所」のことだよ。

 

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自己血とPCPS送血がぶつかる場所?

 

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下のPCPS回路の図をもう一回みてみよう!

 

 

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PCPSで酸素化された血液は、送血管を通って足のつけねにある大腿動脈から身体の中に戻っている。

 

その戻った血液は下大動脈を通って、心臓のほうに送られるんだ。

 

 

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ふむふむ!

 

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PCPSから送られている血液は本来の流れとは逆に送られていることは分かる?

 

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たしか。。心臓からの送り出された血液って、上行大動脈→弓部大動脈→下行大動脈を通って全身へめぐる!だったよね?(汗)

 

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そうそう!

まさに下のイラストのような感じだね!

 

 

 

 

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なので、PCPS送血と自己血がぶつかり合う場所が存在する。

その場所のことを「ミキシングゾーン」と呼ぶんだ!

 

 

 

 

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このミキシングゾーンは、心臓の回復具合で位置は変動するんだ。

 

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ミキシングゾーンの位置が変わる?

どういうこと?

 

 

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自己心が弱い場合、

ミキシングゾーンの位置はこんなイメージ!

 

 

 

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心機能が回復して自己拍出が増えてきた場合、

ミキシングゾーンは下の図のように変化するよ!

 

 

 

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へー。自己心の状態によって、ミキシングゾーンの位置が変化するのか!

 

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それらのこと踏まえて、PCPS管理中はAラインとSpO2モニターは右手に装着するんだ。

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え?なんで右手?

 

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次の項で説明するお!

AラインとSpO2モニターは右上肢で評価!

 

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まずは、下の図をみて!

 

 

 

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解剖上、右上肢には自己血が流れやすい。つまり、

自己肺の酸素化は右上肢のPaO2に反映されやすい。

そのため右上肢にAライン入れて、Aガスで自己肺の評価を行うんだ。

 

逆に、左上肢や下肢はPCPSからの送血が流れやすい。

 

 

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ふむふむ。

右上肢は自己血が流れやすく、左上下肢はPCPS送血が流れやすい。メモメモ!

 

 

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加えて、右上肢に流れる血液は、右総頸動脈(右CCA)へ流れる血管と分岐してるんだ。

 

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つまり、「右上肢の酸素化が悪ければ、脳へ流れている血液の酸素化も悪い」と判断することができる。

そのため右上肢にAラインやSpO2モニターをつけてPaO2やSpO2の評価を行うことが大切になるんだ!

 

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ほぇー。これが左上肢にAラインやSpO2モニターあっても、PCPSから送血された十分に酸素化された血液のため、脳血流の酸素化の判断ができないんだね。。

 

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そういうことだね!「PCPS管理中のAラインとSpO2は右上肢で!」覚えておこう!

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はいっ!!!!

 

ミキシングゾーンの位置を予測し、自己心の評価を行う

 

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PCPS装着時は、右上肢にAラインを入れて管理する話をしたばかりだけど、

自己心の評価をするために左上肢にもAラインを入れて管理することもあるんだよ。

 

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え?どういうこと?

 

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説明していくよ!

自己心拍量が弱く、ほとんど循環をPCPSでサポートしている場合は、下の図のようになる!

 

 

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両手にAライン留置しており、この状態の時に左右のAガスを取った場合、左右のPaO2はどんな値だと思う?

 

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ほとんどPCPSで循環してるってことは、右上肢にもPCPSで酸素化された血液が送られているってことだよね?左右のPaO2の値に差はない?

 

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そうそう!

左右のPaO2の値に差はなく、なおかつ値は高い。正常のPCPSのPaO2は200mmhg以上あります。それに近い値はでるはず。

 

自己心が回復し、下の図にようにミキシングゾーンが動いた場合はどうしょうか?

 

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PaO2は右上肢の方が左上肢より低くなる?

 

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そうだね。

ミキシングゾーンがこの位置なら右上肢はもちろん左上肢にも自己血が混合していると予測できるね。PCPS送血と混ざっている分、「PaO2は右<左」となるが、最初のPCPSほぼサポート比べて左右ともにPaO2は低くなるはず。

 

※ここで注意したいのがPCPS側のトラブルでPaO2が下がってる場合。。急な変動の場合は回路の閉塞や人工肺の異常がないか確認しよう!

 

 

Aライン留置は右上肢だけで管理する場合もあります。その際は左上肢のAガスの代わりにPCPS回路からのAガスで評価し、ミキシングゾーンを予測します。医師によって管理方法は様々ですが、ミキシングゾーンの理解できていれば応用が利くはずです。
最後にミキシングゾーンのまとめたものを図にしています。
参考にしてみて下さい!

 

PCPS中の循環管理の指標

PCPS中の循環管理の指標はいくつかあります!

  • 平均血圧
  • 尿量
  • 混合静脈血酸素飽和度(SvO2)

平均血圧は、臓器灌流の指標になります。

一般的には臓器灌流の維持のためには、平均血圧≧65mmhgが必要と言われています。

 

 

 

 

また、ELSOのガイドラインには以下のような記載があります。

脈圧が小さいため、平均動脈圧は正常よりも幾分低い(新生児は40‐50mmhg、小児と成人では50‐70mmhg)。~中略~ 平均動脈圧は低くても、体灌流は十分なことがある。体灌流は混合静脈血酸素飽和度で評価するのがもっともよい。静脈血酸素飽和度が75%を超えていれば血圧が低くても酸素供給は十分である。

Extracorporeal Life Support Organization (ELSO) General Guidelines for all ECLS Cases Version 1.3 November 2013 P14

 

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要は、

「PCPSは定常流のため脈圧は小さい。なので、正常な場合よりも平均血圧は低くなる傾向にあるよ。少々血圧低くても、静脈血酸素飽和度が保ててればよいよ!」ってことを言ってるよ。

 

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えーと。。PCPSが定常流ってどういうこと?

あと、静脈血酸素飽和度ってなに?

 

下の図をみて下さい!

 

 

 

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PCPSは流量補助のため、自己心と比べて脈圧は小さくなります。

そのため、正常の状態よりも平均血圧は低くなる傾向にあります。

 

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ふむふむ!

じゃあ、静脈血酸素飽和度は?

静脈血酸素飽和度(SvO2)とは?

 

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ヘモグロビンが各臓器に酸素を運ぶことは知ってる?

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あぁ。

聞いたことある!

 

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イメージとしては、

一個のヘモグロビンが酸素を4つ持ってるんだ。

 

 

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それはそうと

このヘモグロビン、きんめぇぇぇ。。

 

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ヘモグロビンは血流にのって全身へ流れる。

そのときに各臓器へ必要な酸素を渡すんだ。

 

全身ヘの旅が終わって戻ってきたへモグロビン。そのヘモグロビンが持っている酸素の数が、「静脈血酸素飽和度(SvO2)」です。ちなみに正確にはvの上に-がついて、読み方は「エスブイバーオーツー」です。

 

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へー。

 

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ちなみに図の場合、SvO2の値はどのくらいだと思う?

 

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ヘモグロビンは酸素4つ持ってたのに、戻ってきた時は3つだったから75%?

 

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そうそう!

3個÷4個で75%。正確には差異がでるけど、イメージとしてそんな感じ。

 

ちなみに、

SvO2≧60~70%あれば良いと言われてるお。

 

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ところで、なんでSvO2が循環の指標になるの(汗)?

 

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心拍出量が低くなると、臓器へ運べるヘモグロビンの数はどうなる?

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・・・減る?

 

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そう!

運べるヘモグロビンの数が減ると、一つのヘモグロビンが臓器へ渡す酸素の数も増えるんだ。

 

 

 

その結果、図のSvO2はどうなっているでしょうか?

 

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減ってる。。

 

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SvO2はこんなイメージで理解しておくと良いよ。

 

スワンガンツカテーテルの心拍出量は指標にしない

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そういえば、スワンガンツカテーテルの心拍出量は循環の指標にしないんですか?

 

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お!良い質問だね。

結論から言うと、「循環の指標にはしない」

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え?なんで?

 

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スワンガンツカテーテルの心拍出量の測定の仕方に関係しているんだ。

 

スワンガンツカテーテルの途中にサーマルコイルサーミスタがある。

 

 

サーマルコイルに電気を流して、熱を発生させます。すると周りの血液の温度が上がります。

しばらくして電気の流れをとめます。ここから血液の温度は下がってきます。

この温度が上がり始めてから元に戻るまでの時間を測ることで、心拍出量が求められます。

 

 

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・心拍出量が多い時はすぐに血液の温度は戻る。

循環がはやいため、温められた血液はすぐに送り出されるから。

 

 

・心拍出量は少ない場合は、さっきと逆。

血液の温度の戻りが遅くなるから。

 

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ふむふむ。

これが、PCPS中だとうまく測れないの?

 

 

PCPS中は脱血管が入っています。

この脱血管が温められた血液を脱血してしまいます。そのため、PCPS中はスワンガンツカテーテルでの心拍出量の測定値はまったくあてになりません。

 

 

このような理由で、スワンガンツカテーテルによる心拍出量を指標しません。灌流が適正かの判断は、前述したSvO2を指標に管理していきます。

 

肺水腫に注意

 

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PCPS中でも肺水腫のリスクがあるから注意しておこう!

 

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え?PCPSって人工肺で十分に酸素化してくれた血液を送ってくれてるんだよね?

 

 

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PCPSって大腿動脈から血液を送ってるから、どうしても左室の負荷がかかるんだ。

 

 

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心臓が十分に動いてないと、PCPSの送血に負けてしまう。その結果、左室(LV)に血液がたまり、左房(LA)にも張ってくる。

 

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あー、なるほど。。

 

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左房圧が上がると、肺水腫が起こってしまうんだ。

 

対策としては、PCPSによる後負荷を軽減するためにIABPを併用する。また強心薬などの循環作動薬を使用して自己拍出のサポートする。これらをすることは、左房圧を下げる一助になると考えられています。

 

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肺水腫発生のリスクを考え、呼吸状態の観察やPAWP(肺動脈楔入圧)の上昇(目安は20mmhgより高くないか?)の有無を観察していくことが大切です!

 

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はいっ!!

 

出血に注意

 

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PCPS中は出血に注意が必要だよ!

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出血かー。怖いな。。

 

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PCPS回路が詰まらないようにヘパリン化することや血液の異物接触によって「易出血状態」になるんだ。

 

 

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カニューレの挿入部からの出血が多くて、他にも消化管や肺、脳出血等のリスクも考えられる。

 

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カニューレの挿入部だけではなく、臓器の出血リスクも考えないといけないのか。。

 

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そうそう。

消化管出血だと胃管からの排液や便の色、肺だと痰の色が赤くないか?

脳だと意識レベルの変化や麻痺の有無など神経学的所見の観察が必要になってくるんだね。

 

最近のPCPS回路はヘパリンコーティングをしているものが主流であり、従来のようにACTを過度に延長しなくてもよくなっています。ちなみに非コーティングシステムだとACT200~300秒、ヘパリンコーティングシステムではACT180~200秒のほどの管理の違いがあります。

下肢虚血に注意

 

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足のつけ根から、太い管を入れるので下肢虚血には注意が必要です。

 

足背動脈・後脛骨動脈の触知や下肢の皮膚色、冷感の有無などを観察しましょう。

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足背動脈と後脛骨動脈どちらもドップラーでも聴取できない時は、すぐにDrコールが必要です!

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どうして?

 

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そのままにしておくと壊死してしまうんだよ。

なので、必ずの足背・後脛骨動脈はドップラーで確認しよう!

 

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はいっ(汗)!!

 

ちなみに、下肢虚血が疑われる場合は、

PCPS送血管の三方活栓から分枝をつくり、PCPS送血管の挿入部の末梢側に細いカテーテルを入れます。こうすることで、下肢の末梢の側の血流も確保できます。

 

 

ASOなど下肢虚血のリスク高い場合には、このような回路を前もって組まれている場合もあります。

 

感染に注意

PCPS中は多数のライン挿入されており感染に注意が必要です。

PCPSの管は太く、さらには鼠経から挿入されています。

 

 

 

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絶食による腸管の浮腫や鎮静薬による腸蠕動の抑制により「下痢」をきたしやすい状況なんだよね…

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PCPS管の刺入部が便汚染しないように注意が必要ってことか!

 

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そうだね。

発熱や採血データ、刺入部の感染兆候等の観察が大切になってくるよ。

 

皮膚トラブルに注意

PCPS中は皮膚トラブルのリスクが高い状態にあり、そこに対する援助も大切になってきます。

 

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前述してた下痢も皮膚トラブルの原因になりそうだね?

 

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そうそう。

その他にも身体がむくむくなっていたり、積極的な体位変換がしにくかったりとPCPS中は皮膚トラブルを起こしやすいんだ。

 

 

 

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循環を維持するために輸液、輸血投与によってインオーバーになっている。

それにより全身浮腫がおこり、皮膚は薄く張った状態になっていることが多い。

 

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摩擦などのわずかな刺激で表皮剥離を生じやすそう。。

 

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さらには、多数のルートや循環動態が安定しないことから積極的な体位変換が行いにくい。そのため不動状態による褥瘡リスクが高い状態にあるんだ。。

 

そのため、予防的なケアが重要となります。

 

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あらかじめPCPS導入が分かっていれば、前もってエアーマットの準備を行うことが必要。

循環動態に注意しながら除圧を行う、皮膚損傷予防のため皮膚にあたるルート類はガーゼで保護するなどの援助が大切になってきます。

 

離脱時のポイント

原疾患の治療を行い、循環動態が安定してくれば医師の指示のもとウィーニングを行います。

 

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おぉ、ついにか!

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離脱時は送血管を一時的にクランプします。

この時から、右房脱血でなくなるためスワンガンツカテーテルでの心拍出量の評価が有効になります。

血圧やCO/CI、PCWPやSvO2、血ガスデータなど循環動態の観察を行います。

ウィーニングしても問題なければ、晴れてPCPS離脱となります。

 

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ここで、確認しときたいことがあるんだ。

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なになに?

 

PCPS回路内の血液は全て破棄となります(機種にもよりますが約500mlくらい)。

 

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その分の血液が無くなることになるため、輸血大丈夫すか?と医師へ確認しておこう!ちなみに回路交換の時も同じよ。

 

PS:太い管が入ってたので、抜去部から出血ないか?の観察も忘れずにな!

 

 

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はいっ!!

 

 

2部に分けてお届けしたPCPS装着中の看護のポイントは以上になります。

PCPS回路の異常に気づくことや、ミキシングゾーンの理解、循環管理の指標の違いなど少しでも明日からの臨床に生かすことができれば幸いです。

2部から読まれた方は、是非パート①の記事も読んでみて下さい。

PCPS(VA‐ECMO)回路の観察ポイント ~安全に看護するためにPCPSを知ろう編~

 

✅参考文献

https://www.elso.org/Portals/0/Files/ELSOVersion1.3JapaneseTranslation.pdf




 


 


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